セブンイレブンのピーターパン(短編小説)
私がよく行く会社の近くのコンビニで、アルバイトらしき茶髪のイケメンお兄さんが居たんだけど、
お兄さんはお客さんが少ない時に、いつも直立不動で小さいノートに何かを真剣にメモしてるんだよね。
自動ドアの扉が開いてお客さんが入ってくる度に、メモるのを一旦やめて接客業を始めるんだけど、お客さんが居なくなるとまた直立不動で小さいノートにメモを始める
お兄さんは気がついてないかもしれないけれど、暇さえあればノートに何かを真剣にメモってるお兄さんの姿を頻繁に見ていたんだよ
私はいつも、そんなイケメンお兄さんをチラ見しながら、イケメンの癖に勉強熱心なの?何書いてるの?って興味津々になっていて
だから私はとある日の日曜日の夜、勇気を出してお兄さんに聞いてみたんだ「いつも何をメモってるの?」 お兄さんは一瞬呆気に取られて、温まったお弁当とサンドウィッチを袋に詰めながら「はい?」って言いながら私を見上げた。
そんな見られても困ってしまうけど、私はひるまずお兄さんを見つめ続けた。
しばらくしてお兄さんは、自分が何を答えるべきかを理解してくれたようで「あ、えっと、夢とか希望とか書いてました」って真面目な目つきで私にそう言ったんだ
私は正直びっくりして腰を抜かしそうになったけど、そこは私だって大人だよ。「あ、そうだったんだ。叶うといいね」って塩対応を装った。一言「仕事ちゃんとしなよ」って説教してやってもよかったかも。
でもね、私の性格上、内心は貴方のその夢を聞かせて欲しいと思ってて、他のお客さんが並んでたので立ち話しもなんだと思ってそのままお店を出てしまった。
なんであの時全部聞かなかったんだろ、って実は今ちょっと後悔してる。だって、その後お兄さんをコンビニで見かけることは二度と無かったから。もしかて、あのイケメンお兄さんって実はピーターパン?おとぎの国に帰ってしまったのかもしれない。
でまあでも、夢を叶えに飛び出したとすれば、しっかり叶えてほしいと願う今日このごろであります
みたいなドラマティックな出来事身の回りで起きないかなあ!!